第7話

「誰かと一緒に住んでいるのか」


男性に聞かれて、躊躇することなく「一人です」と答えた。


「お前さ、俺に住所教えて、一人暮らしって答えて、もし俺が奴の仲間だったらどうするんだよ、ほんと隙だらけなんだから」


そんなこと言われたって、助けて貰ったんだから信じるでしょ。


私が俯いてると男性は私にとんでもない事を投げかけた。


「二、三日分の泊まりの支度してこい」


「えっ?」


「言われた通りしろ」


「あっ、はい」


何?凄い俺様、自分中心に世界が回ると思ってるタイプだ。


この時私はある人物を思い返していた。


八年前巡り会った男性、アメリカに行くことになり、私は振られた。


なんかよく似ているな、まるで彼と一緒にいるみたいな錯覚に陥った。


私は部屋に入って、言われた通りに、二、三日分の泊まりの支度をした。


私から荷物を受け取ると、後部座席に荷物を放り投げた。


そして、私を助手席に押し込んだ。


そう、助手席に座るようにエスコートしたのではない、押し込んだと言う表現が的確だ。

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