第38話

「亜紀、どうかしたか」


「いえ、何でもないです」


「じゃ、行ってくるな、理樹に亜紀は辞めたと伝えておくよ、僕のマンションにいることは内緒な」


副社長はウインクをしてニッコリ微笑んだ。


ドキッとして、顔が真っ赤になるのを感じた。

いやだ、私ったら。


「亜紀、顔真っ赤だけど、大丈夫?熱あるんじゃないの?」


そう言って、副社長は私のおでこに手を当てた。


次の瞬間、副社長の顔が急接近して、私のおでこに副社長のおでこをくっつけて来た。


どうしよう。


「亜紀、熱はないみたいだな、もし、具合悪くなったら僕のスマホに連絡して、すぐ帰ってくるから」


「だ、大丈夫です」


私は慌てて副社長から離れた。


「じゃ、行ってきます」


「はい、行ってらっしゃいませ」


副社長は会社に出社した。


私はキッチンを片付けて、テーブルの上の封筒に気づいた。


「忘れ物、確か会議で必要だとか言ってた書類だ」


副社長のスマホに電話をかけたが通じない。


どうしたらいいの?


届ける?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る