第五章 副社長の溺愛

第37話

「大丈夫、必要な物コンビニに買いに行こう」


私は副社長のマンションに住み込みで、ハウスキーパーの仕事をすることになった。


引っ越した次の日、キッチンで朝食の支度をしていると、副社長が起きて来た。


「副社長、おはようございます、朝食もうすぐ出来ますから」


「亜紀、副社長は変だよ、社員じゃないんだから」

「そうですね、なんて呼べばいいでしょうか」


「健でいいよ」


私は顔を真っ赤にして首を横に振った。


「無理です」


「じゃ、健さんはどう?」


「それなら言えるかもしれません」


「じゃ、その呼び方で行こう」


もう、いきなり、呼び捨てなんて恋人同士じゃあるまいし、無茶振りするんだから。


「今日は朝から会議だから、電話出られないかも、何かあったら折り返すよ」


「だ、大丈夫です」


「それとこの封筒持って行かないと、理樹にどやされるからな」


テーブルの上の封筒には東條ホールディングス株式会社と社名が入っていた。


なんかキュッと胸が締めつけられる思いがした。

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