第36話

「どうして、デートした時送って行くの面倒だし、毎日行ったり来たりじゃ大変だろう」


「デートってどう言うことですか」


「あれ、言わなかったっけ、デートも仕事のうち」


「聞いてません」

「そうだっけ?」


「それならお断りします」


「冗談だよ、冗談、デートはなしで、でも住み込みはお願いしたいんだ、遅く帰って来た時、簡単なものでいいから作って欲しい」


亜紀は考えていた。そして決心したかのように「わかりました、住み込みでお受けします」と言ってくれた。


「良かった」


「あのう、副社長のお話ってなんでしょうか」


僕は事の詳細は封印して、自分の気持ちだけを伝えた。


「亜紀、僕のことを信じて欲しい、どんな事があっても亜紀の味方だから」


亜紀はキョトンとしていた。


多分、何の事を言われたのか理解出来ていない様子だった。


「それじゃ、早速明日引越しだな、今日から契約スタートだからこの部屋使って、鍵がかかるから」


「えっ?今日からですか、何も用意してきていません」

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