第28話

自分の立場を全くわかっていない。


東條財閥の御曹司と言う立場が、どれ程の影響力を持っているのか。


理樹とは大学時代からの付き合いだった。


はじめて理樹に声をかけられた時、まさか東條財閥の御曹司とは思いもしなかった。


「俺、東條理樹、お前東條って言うんだな」


「ああ、僕は東條健、何の用だ」


「悪いけど、講義の内容俺に教えてくれ、寝ちゃってて、気づいたら終わってて、参ったよ」


「友達に見せて貰えばいいだろう」


「ほら、これ、見てみろよ、全然わからないだろう」


「確かに、これじゃ本人もわかんないんじゃないか」


「講義聞いてるからわかるらしいぜ」


「凄いな、ある意味尊敬するよ」


「だから、頼む、飯、奢るからさ」


「わかった、今回だけな」


理樹はそれから毎回僕を頼って来た。


後からわかった事だが、理樹は僕に講義の内容を教えて貰うのは口実だった。


理樹は頭の回転がいい奴だ。


居眠りしてても講義の内容はほとんど理解していた。


理樹には御曹司なりの悩みがあった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る