第19話

理樹が惚れたのも無理はない、しかし、理樹には何としても婚約者と結婚して貰わなければ、この会社を存続させる手立てが見つからない。


五年間必死になってこの会社を守ってきた。


ここで倒産など考えられない。


でも正直言って、僕の本音は亜紀を理樹に渡したくない。


そこまで、僕は亜紀に強く惹かれた。


そしてエレベーターが最上階手前で止まった。


「この階が副社長室だよ、この上が理樹がいる社長室だ」


「紹介しよう、僕の第一秘書の最上真理子さんだ」


「最上真理子です、よろしくお願いします」


「こちら、僕の秘書兼恋人の水本亜紀さんだ」


「副社長、誤解されるようなことは仰らないで下さい」


「水本亜紀です、秘書の仕事は経験がないので、ご指導よろしくお願いします」


「こちらこそ」


「それじゃあ、社長に紹介するよ、理樹に会わせるから」


エレベーターで上の階に向かった。


「こちら、社長の秘書の真壁蘭子さん」


「僕の秘書兼恋人の水本亜紀だ」

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