第18話

そしてグッと引き寄せられた。


次の瞬間、エレベーターのドアが開き、一人の男性が立っていた。


「悪い、取り込み中だったか」


この声、理樹さんの声。


私は副社長さんの肩越しにドアの方を覗き込んだ。


理樹さん!


ドアが閉まりかけた瞬間、理樹さんがこちらを向いた。


目が合ったような気がしてドアは閉まった。


あれ、今、健と一緒にいた女性は亜紀?まさかな、こんなところにいるはずないよな、しかも健に抱きしめられていたんだから、亜紀のはずがないよな。


俺は一瞬亜紀に見えた事に、等々幻が見えてきたかと、項垂れた。


しかし、健が女性を会社に連れて来るとは珍しい事があるなと、この時は亜紀だなんて想像もつかなかった。


「閉まっちゃった、抱き合ってるところ見られたね」


亜紀は慌てて僕から離れた。


初めて亜紀を見た時、すごく惹かれた。


今まで味わった事のない感情が溢れてきた。

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