第4話

「すみません」


日本人と言うだけで私はすっかり気を許した、どこの誰ともわからないのに……


助けてくれた男性が泊まっているホテルは高級ホテルだった。


「すごい、こんな高級ホテルに泊まってるなんて」


「お前はどこのホテルに泊まってるんだ」


「私、お前じゃありません、水本亜紀です」


「亜紀か、俺は東條理樹、東條ホールディングス社長だ」


東條?私の嫌な記憶が脳裏を掠めた。


でも、それも一瞬の出来事で、この時は気にも止めなかった。


社長?だからこんな高級ホテルに泊まってるんだ。


私は納得した。


そういえば、理樹様って呼ばれていたよね。


「痛い」


「少しは我慢しろ」


「私、痛いのは苦手なんです」


「じゃあ、初めての時は大変だっただろ」


初めての時?


「はじめて男に抱かれた時だよ」


私は顔が真っ赤になった。


「思い出してたのか」


「私、まだ経験ありません」


その男性はびっくりした表情で私を見つめた。

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