第3話

でも、お腹はもっとくれと催促してグーグー鳴っている。

コンビニとかないのかな。


ホテルを出て、コンビニを探した。


亜紀のバカ、ここはニューヨークだ、日本ではない。


日本人は金を持っているから狙われやすいってわかっていたのに。


案の定、私は何人かの白人男性に囲まれた。


嘘、なんか言ってるけど、何言ってるかさっぱりわからない。


そのうち、腕を掴まれて、人気のない場所に連れて行かれそうになった。


「助けて!」


私は叫んだ、日本語で。


誰も助けに来るわけない。


と、諦めかけたその時、一人の男性が白人男性に蹴りを入れた。


その場が騒然となった。


「理樹様」


また一人男性の声、日本語?


白人男性はなんか言ってその場を去った。


私に手を差し伸べた男性は「大丈夫?」と声をかけた。


日本語だ。


私は顔を上げて、その男性を見上げた。


日本人!私は涙が溢れて来た。


「怪我はない?」


「はい」


「血が出てるぞ、俺の泊まってるホテルはすぐそこだから手当をしよう」

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