その頃私はこれからの事を考えていた。

このまま琉の元にいる訳にはいかない、でもどうする事も出来ないと心が折れそうになる。

ここに置いて貰っている間は、私の出来る限りの事をしないとって思い、食事の支度をすることにした。

支度を始めてしばらくすると、琉が仕事から帰って来た。

「お帰りなさい」

「雫、ただいま」

琉は私を引き寄せ抱きしめた。

「子供の事もあるから、早く入籍しよう」

琉の言葉に戸惑いを隠せなかった。

そして琉は私が今一番気になっている事を切り出した。

「雫、今日会社に冴木コーポレーション社長の冴木峻が訪ねて来た」

えっ峻が・・・

私は動揺して鼓動が早くなるのを感じた。

「雫を返してほしいと言ってきたから、雫と結婚すると伝えたよ、彼には婚約を破棄して貰わないとね」

峻は何と答えたんだろうと気になった。

でも唯香さんがいるのに、何で私を迎えに来てくれたのだろうか？

峻は唯香さんとは関係無いと言っていた。

「俺を信じろ」って言われたのに・・・

でも唯香さんは妊娠している、もしかして峻の子供ではないの？

それなのに私は峻の元を出てきてしまった。

どうしよう。

峻、心配してくれてるの？

私は峻の元に帰る決心をした。

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