第28話

彼はその足で藤ケ谷不動産社長藤ケ谷琉に会いに行く為、秘書の山元さんに電話した。


「山元、急ぎで藤ケ谷不動産社長藤ケ谷琉について調べてくれ、後これから藤ケ谷不動産本社に行きたい、場所を俺のスマホに送ってくれ」


「かしこまりました」


山元さんは至急対応した。

彼は藤ケ谷不動産本社に向かった。


「社長、お客様がお見えです、お約束は無いとの事ですが・・・」


「誰だ」


「冴木コーポレーション社長冴木峻様です」


「お通ししろ、しばらく二人だけにしてくれ」


「承知致しました」


彼は藤ケ谷不動産社長室に通された。


「初めまして、藤ケ谷不動産社長藤ケ谷琉です」


琉は穏やかに挨拶をした、私が自分のテリトリーにいる為余裕を見せた。


「初めまして、冴木コーポレーション社長冴木峻です」


対象的に彼は私の行方が不確かな為、焦りを露わにしていた。


「取引はありませんが、どんなご要件でしょうか?」


「雫を何処へやった、雫を返してもらう」


彼は琉がチビちゃんの父親だと言う確証は無かったが、相手の出方を見る作戦に出た。


「雫は返さない、雫は僕の妻になる女だ、彼女のお腹の中の子供は僕の子だからね」


彼の表情が険しくなった。


「雫は俺の婚約者だ、これは立派な犯罪だぞ」


彼は琉を睨みつけた。


「本人合意の元だ、人聞きの悪い事言わないで貰いたいな」


彼は信じられないと言った表情を見せた。


「雫が自分の意思でお前について行ったと言うのか」


「そうだ、雫との婚約は破棄して諦める事だな」


彼は目を細め一瞬言葉を失った。


「お客様のお帰りだ」


琉はソファから立ち上がり、ドアの方に手招きした。


彼は仕方なく、その場を後にした。

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