第14話

雫が泣いているのが電話を通して伝わってきた。

なんで泣いているんだ、俺が原因なのか、俺とベッドを共にすることが、泣くほど嫌なのか?


朝出かける時、唇ではなくおでこにキスをした。

雫の唇にキスをすると、俺の気持ちが耐えられなくなるからだ。


でも雫は変な顔をしていたな、おでこでも俺とのキスは嫌と言うことか?


それともチビ助の父親を思い、泣くほど未練があるのか?

どうすればいい?


「すみません、お仕事中に電話して頂いたのに、私は大丈夫です、もう切りますね」


「待ってくれ、俺に出来ることはあるか」


「だ、大丈夫です」


「そうか、わかった」


雫のわがままはなんでも聞いてやりたい。

こんな気持ちは初めてだ。

大丈夫と言っていた雫がお願いがあると言い出した。


「出来ればでいいので、お仕事終わったらすぐ帰ってきて貰えますか?」


「わかった、すぐ帰る」


なんだ?俺に話でもあると言うのか?

まさか、契約を解除したいと言うことか?

嫌な予感が脳裏を掠める。


雫、俺の側に居てくれ、お前の為なら俺はなんでもすると約束する。

俺は仕事を終えると、雫が待つマンションへ急いだ。

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