第三章 すれ違う気持ち

第13話

連休が終わり週の始まり、彼は仕事に出かける。


「雫、何もしなくていいからな、ゆっくりしてろ」


彼は私を抱きしめて、おでこにキスをした。

なんでおでこ?もう私嫌われたの?

この時私は彼に唇にキスして欲しいって思った。

じっと彼を見つめて訴えるも彼は気づいてくれなかった。


こんなに男性を好きになったのは初めての事。

チビちゃんのパパは初めての経験の相手として選んだ。

でも彼への気持ちは特別、しかしこの愛は叶わない、彼とは契約の関係だから・・・


「いってらっしゃい」


「行ってきます、帰り電話するからな」


「はい」


彼の後ろ姿に伸ばそうとした手を引っ込めた。

駄目だよ、チビちゃんと二人で生きていけるように強くならないと・・・


つわりは思った以上に辛い。

お昼まで横になっていた。

スマホが鳴った、彼からだった。


「雫、大丈夫か?」


彼の声を聞いた途端、我慢していたきもちが溢れて、泣いてしまった。


「どうした?なんかあったか?」


「大丈夫です、私、泣き虫なんです」


彼に会いたくて泣いてるなんて言えない。


「泣き虫?泣いてるのか?」


「ないてません」


私は涙を堪えていた、彼に迷惑かかるから・・・

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