第2話

恋人でもない男性に、ファーストキスを奪われて、しかも舌まで入れられて、


それより問題なのは、その相手が真壁不動産次期社長だ。


そして私はその男性を突き飛ばしてしまった。


キスした女性に突き飛ばされて、プライドボロボロだろう。


明日謝らないと、私はこの日、眠れない夜を過ごした。


俺は真壁翔、真壁不動産に就職し、新入社員として経理部に配属になった。


実は俺の親父は真壁不動産社長である。


親の七光りだって?


だから、親父の会社に就職したくなかったんだ。


でも、一つだけいいことがあった。


倉田静香、経理部の先輩だ。


新入社員歓迎会の席で、女性社員の中では一番年上だろうに、気遣いが半端なかった。


一番動いていたと言っても過言ではない。


俺は、笑顔に心惹かれた。


好きになると一途にアタックする。


自分の気持ちを最優先するわがまま振りだ。


自覚はある、でも止められない、自分の希望が叶わなかったことは人生で一度もない。


唯一、親父の会社を継ぐ事を除いては……

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