第40話

横断歩道で絶対に誰かに背中を押された。


一瞬の間で「消えて」と声が聞こえた。


真凜かどうかは定かではない。


でも、でも……


「まどか、まどか大丈夫か」


病室のドアを勢いよく開けて入ったきたのは龍斗さんだった。


「龍斗さん」


まどかのそばには新がより寄っていた。


龍斗は一瞬新を睨んで、すぐにまどかの側に駆け寄った。


「どうしたんだ、何があった?」


「急にバランスを崩して、車道に飛び出しちゃって……」


「そうか」


龍斗はまどかをギュッと抱きしめた。


「なんともなくてよかった」


龍斗はまどかの身体を離すと、新に向かって言葉を発した。


「世話になったみたいだな、礼を言う」


そう言って頭を下げた。


「なんともなくてよかったです、では俺はこれで……」


「新、ありがとう」


「ああ、一人で出歩くなよ、俺に連絡くれたらすぐに飛んでくるからな」


新は龍斗に頭を下げて病室を後にした。


龍斗はそれから何も言わない。


怒ってるのかな?

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