第37話

きっと奴のように弱い部分を見せた方が、まどかも俺に気を許してくれるんだろう。


「龍斗さん、ベッドに横になった方がいいと思います」


「大丈夫だ、それより俺に話すことはないか」


まどか、もしかして悩みがあって、奴に相談していたのか?


俺に話せないことなのか。


俺達は夫婦だろ?


その時契約結婚と言う言葉が重くのしかかってきた。


自分から言い出したことだが、その関係性が龍斗とまどかの間に溝を作っているなど、


想像も出来なかった。


まどかは「何もありません」と俯いた。


「そうか、わかった」


龍斗はこれ以上深追いしないようにした。


ベッドに横になった龍斗は、まどかに手を握って側にいて欲しかった。


しかし、そんな自分の気持ちを伝える簡単なことが、龍斗に取ってハードルが高い。


案の定、まどかは龍斗の部屋から出ていこうとした。


好きな男だったら放っておけないんだろうが、俺は違う。


まどかは龍斗の手を握ってずっと側にいたかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る