第36話

「そんなことより、どこに行っていたんだ、スマホも繋がらず、心配したんだぞ」


「ごめんなさい、実は……」


この時、まどかはどこまで何を話したらいいか迷っていた。


新の言うことには真凜には気をつけろよと言うことだった。


新を悪者にしたくない、でもなんて言えばいいんだろう。


それに真凜さんだって、本当は龍斗さんと結婚したかったに違いない。


「まどか、どうした?」


「なんでもないです」


まどかは全ての言葉を飲み込んだ。


「誰に送ってもらったの?」


「新に偶然会って、ちょっと話して、龍斗さんと結婚したことや、妊娠していることを伝えました」


「奴はなんだって?」


「龍斗さんに大事にしてもらえって」


「そうか、でもスマホの電源切る必要はないと思うが」


「ごめんなさい、気づきませんでした」


まどかは明らかに嘘をついていると悟った。


「それより、龍斗さんは大丈夫ですか」


「大丈夫だ」


俺はどうして強がってしまうんだ。

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