第34話

「うん、だって私を好きなわけじゃないから」


新は大きなため息をついた。


「お前さあ、自分を好きでもない男と寝たのか」


「だって酔ってたし……それに新の浮気現場、じゃなくて本気現場を目の当たりにして動転してたんだもん」


「まどか、お前は奴が好きなのか」


私は頷いた。


「それなら、絶対に奴が契約解除したいって言っても、離婚届にサインしなければ大丈夫だから、子供だって奴の子供なんだろう」


私はポカンとしていた。


「なんだよ、その顔」


「あ、だって新がまともなこと言うんだもん」


「なんだよ、それ」


「ごめん」


新は自分の着ていた上着をまどかにかけてくれた。


「ありがとう、でもどうしちゃったの?急に優しくなって」


私はふふっと笑ってしまった。


「別にどうもしねえよ」


「でもね、愛情ないのに一緒にいるって、どうなのかなって思う」


「お前が好きならそれでいいんじゃねえか、奴はお前と子供を養っていける経済力あるしな、俺と違って、それから真凜には気をつけろよ」

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