第29話

次の朝、三倉は友梨の迎えに行った。


「あら、三倉さん、どうしたんですか」


「友梨ちゃん、ストーカーにねらわれてるんだって?社長から聞いたよ、

今日から俺が友梨ちゃんの送り迎え担当するから、社長に頼まれたんだ」


まさか、社長の代わりに三倉が来るとは想定外だった。


社長と一緒にいられると思うから頼んだのに、三倉と毎日一緒なんて、


耐えられない。


「ありがとうございます、でも大丈夫です、嫌な視線も人影も感じなくなったので、

私、寄りたいところがあるんで、じゃあ、会社で後ほど」


「え、友梨ちゃん」


友梨はさっさと三倉から離れて、その場を後にした。


龍斗は三倉から事情を聞いて、呆れた表情を見せた。


「三倉、悪かったな」


「大丈夫です、また何かあったら言ってください」


「ああ、よろしく頼むよ」


龍斗はちょっと気まずかった。


実は三倉は前から友梨を気に入っていたからだ。


これを機会に上手くいけばと思っていた。

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