第26話

友梨は甘え上手で、いつも龍斗の傍にいて、相談を口実に龍斗と食事に行ったりしていた。


「まどか、今日、友梨ちゃんと食事して帰るから、俺の分はいらないよ」


「そうですか」


「なんかプライベートのことで相談あるんだって」


「わかりました」


まどかは龍斗からのスマホを切って、徐々に心配になってきた。


この間も相談あるって、食事してたよね。


そう言えば、友梨ちゃんは龍斗さんに好意を持っていたんだった。


「社長、素敵ですよね」


まどかは友梨の言葉を思い出していた。


でも、私は戸籍上の妻だし、龍斗さんが誰と食事しようと文句言える立場じゃない。


そう割り切っていたはずなのに、胸の奥がチクチク痛いのはなぜ?


まどかは自分の気持ちにまだ、気づいていなかった。


友梨と食事に行くと言ってから、時間はだいぶ経っていた。


その時、まどかのスマホが鳴った。


「まどか、ごめん、もう寝てた?」


「いいえ、まだ起きてます」


「遅くなったけど、これから帰るから、先に寝てていいよ」

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