第20話

それから、まどかとスマホ教室とは表向きで、一週間に一度待ち合わせした。


俺は親父の息子だと言うことを、まどかには伏せていた。


大学を卒業した俺は親父の会社を受けた。


「どう言う風の吹き回しだ、龍斗がわしの会社を受けるとは……」


「親の七光りはごめんだからな、表から正々堂々受けたかった」


「そうか、それでどうだったんだ」


「受かったよ」


「そうか、まずはアメリカ支社で働いてもらう」


「はあ?」


俺は想定外のことに戸惑った。


そして俺が日本に戻ってこれたのは五年後だった。


その時、まどかは他の男と同棲中だった。


当たり前だよな、何も約束もない、気持ちも伝えてないのに、


待っていてくれるわけがない。


それからしばらくして、俺は親父の入院を機に社長に就任した。


まどかは俺の秘書になった。


でも、まどかは他の男のものだった。


あれから十年、やっとまどかをこの手で抱くことが出来たのに、男と別れてフリーになったのに、妊娠中だなんて……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る