第15話

一緒の時間を過ごして幸せだった。


それなのに、なんであの時新の元に残るって言ったの?


愛していたの?


違う、ただ可哀想で放っておけなかった。


それを愛と呼ぶなら、社長に対する気持ちは何?


でも、もう遅い、今更あなたを愛していました、あなたの赤ちゃんを授かりました、


側においてくださいなんて言えない。


とにかく妊娠の真意を確かめるべく、まどかは妊娠検査薬を試すことにした。


ドキドキしながら、結果は陽性だった。


私、社長の赤ちゃんを妊娠している。


そんな時アパートのインターホンが鳴った。


えっ、誰?


「どちら様でしょうか」


「まどか、俺、龍斗だ、体調不良で休んでるって聞いて、様子を見にきた、大丈夫か」


社長。


まどかはドアを開けた。


そこには龍斗が立っていた。


「まどか、大丈夫か」


「社長」


「飲むゼリーとヨーグルト、それからスポーツドリンク買ってきた」


「ありがとうございます」


龍斗が袋を手渡そうとして、まどかの手に触れた。

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