第8話

「すみません、ご迷惑をおかけして、私、帰ります」


「どこに帰るんだよ」


「えっ?」


「お前振られたんだろ、帰るところはねえよ」


そうだった、私が彼のアパートに転がり込んだんだから、私帰るところない。


「おい、早くシャワー浴びて支度しねえと遅刻だぞ」


「えっ?」


まどかは部屋の時計に目を移すと、七時を過ぎていた。


どうしよう。


「シャワーお借りします」


シャワールームから出ると、食事の支度が出来ており、まどかのスーツもアイロンがかかっていた。


「俺と一緒に車で行けば間に合うだろう、早く飯食え」


「でも、そんなこと出来ません」


「今、この状況で、そんなこと言ってられないだろう」


まどかは龍斗の言う通りにするしか、方法がなかった。


そうよ、お互い酔った勢いで一線を超えた、そう、一夜の過ちなんてよくあることよ。


だめだ、相手が社長じゃ、私、首かな。


「あのう、社長、私、酔っていたとはいえ、本当に申し訳ありませんでした、私、首ですか」

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