第2話

「別に大丈夫、この間泊まった時忘れていったやつだから」


「でも、彼女さんすぐに泊まりにきますよね」


龍斗はまどかの言葉に不思議な表情を見せた。


「彼女じゃねえよ、妹だよ」


「そんな嘘言わなくても大丈夫です、みんな噂してますよ、社長の彼女さんってどんな人なんだろうって」


「だから、彼女はいないって」


「そうなんですか」


「お前は確か男いたよな、どんなやつ」


まどかは俯いて答えなかった。


「これから、帰らなくていいんなら、泊まって行けよ、すぐに服も乾かないし」


「でも、それじゃ社長に迷惑がかかります」


「別に迷惑じゃねえよ」


龍斗はまどかが恋人と同棲していることを知っていた。


多分、喧嘩でもして飛び出してきたんだろうと推測していた。


「少し、心配させてやれよ」


「そうですね」


「お前、飯は食ったか」


「いいえ、まだです」


「一緒に食うか」


「私は大丈夫です」


その途端にまどかのお腹が鳴った。


「もの食わせろって言ってるぞ」


龍斗は大声で笑った。

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