第一章　一夜の過ち

「まどか、どうしたんだ、傘もささないで、ずぶ濡れじゃないか」

まどかはゆっくり顔を上げると、目の前に社長の木崎が立っていた。

「社長」

「さ、車に乗れ、身体を温めないと風邪をひくぞ」

龍斗はまどかを車に乗せて、自分のマンションへ連れて行った。

「早く、シャワーを浴びてこい」

シャワールームに案内された。

「えっ、どうしよう、着替え」

そこに龍斗が声をかけた。

「これきろ、妹のだから」

「ありがとうございます」

「ドアのところに置いて置く」

ガラス越しに龍斗の姿が見えなくなってから、そっとドアを開けた。

そこにはスエットの上下と下着があった。

「妹さんのって、嘘だよね、彼女のだな、きっと」

まどかは後でクリーニングして返せばいいよねと自分に言い聞かせてスエットの上下を借りた。

シャワーを浴びて身体が温まったおかげで、気持ちも少し落ち着いた。

「ありがとうございました、これクリーニングして返しますので」

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