第38話

「もう、外しちゃ駄目だよ」

彼はそう言って、私を優しく抱きしめてくれた。

彼の唇と私の唇が重なり、永く熱いキスをした。

もう、彼無しの人生は考えられなかった。

「麻生さんが行くとき、必ず私を一緒に連れて行ってください」

私は彼にお願いした。

「行くって何処へ?」

彼は私の言っている事が理解出来ない様子であった。

「黄泉の国」

彼はビックリした表情で私を見つめた。

「私、一人じゃ生きていけないから」

納得していなかった彼の言葉に、急に不安になり、気持ちを打ち明けた。

彼の人生に限りがある事を、この時感じたのである。

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