第37話

彼は不思議そうに私を見つめた。

「あゆみが言っている事分からないよ、あゆみより大好きな女性は居ないよ」

「彼女ですよ、キスしていた」

「最近キスした女性はいないけど」

私はマンションの前で見た事を話した。

彼は心当たりがあったように私に説明を始めた。

「まず、彼女じゃないし、キスはしていないよ」

「うそ、キスしていました」

「嘘じゃない、そう見えたなら謝る、彼女じゃなくて特別なお客さんだよ」

彼は必死に説明していた。

「私の事嫌いになったのですよね」

「嫌いになってないよ、一番大好きだよ」

「だってキスしてくれなくなったから」

私はもう泣きながら彼を責めた。

彼は何だと言う安心した表情で私を抱き寄せた。

そしてキスをしてくれた。

涙が溢れて久しぶりのキスは涙の味がした

「先生に注意された、夫婦の営みはほどほどにしてくださいって、あゆみとキスしたらしたくなっちゃうだろう」

なんか訳が分からず、何がどうなっているのか考えられなかった。

「あゆみ、勘違いしているよ、あゆみの事嫌いになる訳ないし、ずっと大好きだよ」

私は暫く涙が止まらなかった。

「左手出して」

彼は指輪を私の左手の薬指にしてくれた。

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