第32話

「束縛?」

「彼はこれから好きな人が出来る可能性は十分にあります、子供が彼にとって重荷になり迷惑ではないかと・・・」

先生に対して本音をぶつけた。

「でも、ご結婚されていますよね、それにあんなに妊娠を喜んでくれています、安易な事は言えませんが、心配し過ぎかと思いますが・・・」

先生は続けた。

「確かにご主人さまは若いですが、とてもしっかりしているようにお見受けします、もっと甘えてみたら如何ですか?」

先生の言う事は最もで、私の考え過ぎがあるのは分かっていた。

「でも、もし彼に好きな人が出来て別れる事になったら、私一人じゃ育てられません」

なんか涙が溢れて止まらなかった。

「あゆみさん、大丈夫ですよ、おうちに帰ってからご主人と、よく相談してみてくださいね」

待合室で待機するように促された。

替わりに彼が診察室へ呼ばれた。

「麻生さん、お仕事は会社経営となっていますが、差支え無ければ業種をお答えいただけますか?」

「業種?サービス業です」

「そうですか、奥さまは出産にとても不安を抱いておられます、皆さんそうなのですが、麻生さんに今後好きな人が出来ると、子供の存在は迷惑になると、心配されています、失礼ですが、いままでご夫婦仲で浮気とか問題ありましたでしょうか?」

「ないです、俺はあゆみをいや、あゆみだけを愛していますから」

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