第31話

「待合室にいるご主人さま呼んで」

先生は看護師に指示を出した。

彼が診察室へ入ってきた。

「ご主人さまですか?」

「はい、そうです」

彼は嬉しそうだった。

そして、すぐに先生に質問した。

「あゆみ、妊娠していましたか」

「はい、おめでとうございます、二ヶ月目に入ったところです」

「まじっすか、やったあ」

彼は急に立ち上がり、喜びを全身で表すかのようだった。

その様子に先生は笑いを堪えられず、そして満面の笑みで私を見つめた。

「これはあくまで確認ですが、出産されますか?」

先生は出産の確認をした。

「はい、します」

彼は迷わず答えた。

「奥様もよろしいですね」

私は即答出来ずにいた、その様子に不思議に思った先生は、彼に待合室で待機して貰うように指示し、私と話し始めた。

「あゆみさん、出産は望まれていないのでしょうか」

私は首を傾げて答えに困っていた。

「何か理由があるなら、聞きますよ」

先生は私に優しく微笑んだ。

「あの、彼は二十五歳なのです、私はもうすぐ四十歳になります、彼の人生子供で束縛する事になると心配なのです」

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