第24話

「このまま、二人で消えませんか?」

咄嗟に工藤さんの腕の中から抜け出し、化粧室へ逃げ込んだ。

「ここで待っています」

どうしよう、麻生さん早く来て、私がいない事気づいて、電話して、お願い。私はスマホを握りしめて彼からの連絡を待った。

その時スマホが鳴った。

「あゆみ、今、どこにいるの?」

「麻生さん、今、化粧室にいます。さっき、麻生さんの仕事仲間の工藤さんと言う男性に声をかけられて、メアドが書いてある名刺渡されて、どうすればいいか分からなくて、化粧室にきたのですが、まだ、化粧室の外で、工藤さんが待っているとのことで、どうすればいいですか、あのう、迎えに来てください

「分かった、今行くから化粧室から出るな」

「はい」

暫くして化粧室の廊下で、彼と工藤さんの話し声が聞こえてきた。

「麻生、久しぶりだな、お前が結婚したなんて驚いたよ、まさか本気じゃないよな」

「お前、あゆみに手を出したら、ただじゃおかねえ」

「残念でした、さっき抱きしめちゃったよ,彼女満更でもなかった感じだったぜ」

「てめえ」

「おっと、顔は勘弁してくれ、商売道具だからな、どちらを選ぶかは彼女次第だな、じゃあな」

二人の会話は終わったらしく、気まずい空気が流れた。

「あゆみ、もう出てきても大丈夫だよ」

私は恐る恐る化粧室のドアを開けた。すぐ目の前に彼の姿があった。私は思わず彼に抱きつき涙が止まらなかった。

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