第15話

彼は相変わらず大好きって言って、抱きしめてくれる。

ある日、彼は私の誕生日を聞いてきた。

「あゆみ、誕生日教えてくれる?」

「誕生日ですか?え~っと八月十日です」

彼は自分の部屋からパソコンを持ってきた

「パソコンのパスワード、あゆみの誕生日に変えるから覚えておいて」

「はい、わかりました」

彼はどうしてパソコンのパスワードを教えてくれたのだろう、しかも私の誕生日なんて

「あのう、パソコンのパスワード、なんで私の誕生日に変えたのですか?」

「このパソコンの中には、俺のすべてが入っている、だから見てもいいよ」

「いいです、そんな事出来ません」

彼のやる事全然着いて行けないよ~

しかも彼はまた予想を遥かに超えた事を言ってきた。

「あゆみ、俺さあ、子供欲しいなあ」

え~何言っているの?私の聞き違い?今、子供欲しいって言ったよね?どういう事?

「俺とあゆみの子供」

え~ちょっと待って、無理だよ、私もう四十歳なのに、それに初めてなんて言えないよ~   

私は心の中で彼にぶつけた、声に出しては言えない事を・・・

「あゆみ、子供嫌い?」

「そんな事ないですけど」

彼は今までに無く黙っていた、初めてだったこの沈黙に押し潰されそうになった、どうしよう。

なんか言わないと、言葉が見つからない。

彼は沈黙を破り私に声を掛けた。

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