第13話

「ごめん、騙していたわけじゃない、ホストって言ったらあゆみが一緒に居てくれないと思って」

彼は何度も謝っていた。

「大丈夫です、そんなに謝らなくても」

全然大丈夫じゃないのに、私は平常心を装った。

「じゃあ、今まで通りずっと俺と一緒に居てくれるって事だよな」

彼は安心したような表情で私を見つめた。

どうしよう、全然大丈夫じゃないよ~、だってホストって、お客さんと、無理だよ。

私はふっと時計に目をやった。えっ、時計の針が深夜零時を回っていた。仕事、麻生さん仕事は?

「麻生さん、仕事は?もうこんな時間になって、どうしよう」

彼は驚きもせず、私の手を引き寄せ抱きしめた。

「大丈夫だよ、今日は仕事を休んだから」

彼は優しく微笑んで答えた。

仕事を休んだって私のせい?どうしよう。

「ごめんなさい、私のせいですよね」

動揺している私に、彼はゆっくりと話を始めた。

「あゆみ、聞いて?俺はあゆみが大切だから、心配するのは当たり前だけど、仕事は大事だから、お客さんには迷惑かけられない、

でもあゆみに嫌な思いや、悲しい思いはさせたくない、あゆみとはずっと一緒にいたいって言うのが俺の本音、だけどホストの仕事は辞められない、だから理解してほしい」

彼は真っすぐ私の眼を見て、気持ちを話してくれた。

「分かりましたけど、ただちょっと時間ください」

私はどうしていいのか分からなかった。

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