第10話
次の日、指輪を買いに行く事となった、彼の独断で強引に。
「指輪どんなのがいいかな」
彼は子供のように、ワクワクしながら、ウインドウの指輪に熱い視線を送っていた。
「指のサイズはいくつ?」
「分かりません、あの~私、指輪はお気持ちだけで十分です」
何とかこの場を乗り切らなくてはと思い必死だった。
「大丈夫、これにしよう」
全然私の話聞いてない。
彼はいつでも即決で、悩むと言う文字は彼の辞書には無いかのように決断する、ある意味羨ましいと思った。
私はいつも迷ってばかりで、物事を決められない。
もし、彼の言っている事を信じて、ずっと一緒に居られたら、私の人生は、今までと違う物になるだろうと思った。
でも、優しく、決断力があり、私を大切にしてくれる彼の気持ちが本当であるはずが無いと自分に言い聞かせた。
でも・・・
「左手貸して」
彼は私の左手の薬指に指輪をはめてくれた
ずっと憧れていた瞬間、叶わぬ夢と諦めていた左手の薬指の指輪。
私の瞳から涙が溢れ、頬を伝わった。
神様、彼を信じてもいいですか?
この時、これから起こる出来事を私は全く考えられなかった。
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