第9話

何言っているの?あ~もう頭の中が混乱して、着いて行けない。

「あゆみ、また分かんなくなったの?」

彼は私の状況を見て、問いかけた。

「何言っているか、全然分からないのですけど」

彼は突然笑い出し、次の瞬間私の手を掴み自分の方へ引き寄せた。

「すごく可愛い」

えっ、と顔を上げたその時、私の唇と彼の唇が触れた。

私は初めて彼とキスをした。

彼は暫くの間、私を抱きしめていた。

そして、彼と見つめ合いまた唇を重ねた、

彼とキスしているの、私が?どうしよう。

慌てて彼から離れてその場から逃げ出した

ドアを閉めて、深呼吸したがドキドキが止まらない。

「あゆみ、ごめん、ビックリした?すごく可愛かったから、我慢出来なかった」

彼の言葉は全然入ってこなかった。ドアの向こう側で、一生懸命謝っている彼。

ドアのこちら側で、どうしていいか困っている私。

彼は全然悪くないのに、私がビックリしただけで、大変な事になっている、子供じゃないのにこんなにも動揺して、逆に恥ずかしい。ドアのこちら側から声を掛けた。

「ごめんなさい、ちょっとビックリしちゃって」

彼はドアの向こう側から優しく声を掛けてくれた。

「俺の方こそごめん、でもいい加減な気持ちじゃないから」

ドアを開けた私に彼は続けた。

「思ってたより以上に、どんどんあゆみに魅かれている自分がいる」

うそみたいな展開に、私は茫然と立ち尽くした。

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