第6話
「俺は相当わがままだから、大変だと思うから、月に二十万でどう」
彼の言葉は全く耳に入らなかった。
しかも私の荷物は移動してあるし、もう断れないよ~。
「この部屋を自由に使っていいから」
私まだ返事してないのに、どうしよう。
困っている私に、彼は思いもよらぬ言葉を浴びせた。
「家政婦としてじゃなく、俺の妻として一緒に生活して欲しい」
え~っ、何を言っているの、私の頭の中はぐるぐると回転して、正常な判断が出来ない状態だった。
そんな私の気持ちを置き去りにして、彼は話を続けた。
「二十万の給料を貰うと、あゆみさんも税金払わないといけないから、税金対策と言う事でどう」
もうパニック、何がなんだか分からなくなった。
二十万の給料?そんな事いわれたかな、どこでそんな話をしていたのかな?あ~駄目だ、冷静になってちゃんと話を聞かないと、私は大きく深呼吸をして話を切り出した。
「すみません、私全然話を聞いていなかったので、ちゃんと説明して頂けますか」
彼は意外そうな表情で、私を見つめた。
「参ったな、何処から聞いて無かった?」
聞いて無かったって言うか、理解出来なかったって言うか、なんて言えばいいの?
彼はどう答えればいいか困っている私に優しく微笑んだ。
「腹減ったな、まだ飯食って無かったな、飯食いに行こうぜ」
その場の空気が一気に変わり、なんか不思議な感覚に陥った。
彼は食事から戻ってから、初めから話をしてくれた。
「契約結婚って事ですか?」
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