第3話

「おかゆ、すごく美味かった、サンキュー」

そして彼はその場を立ち去った。

 何が起きたのか分からない状況のまま、暫く動けずにいた。身体の熱りを感じ、別世界に誘われた錯覚に陥った。

「神様からのご褒美?」

眼を閉じると、彼の温もりが蘇る。

「もう一度会いたい」

初めての気持ちに戸惑いを隠せない、まるで少女のように、胸がときめいた。

この時既に、私のハートは彼に奪われていた。


そんな夢のような出来事から、一カ月が過ぎようとしていた、毎日彼の事が頭から離れない。

また会えないかな~また抱きしめてほしい

そんな妄想を描き、大好きって見つめられてキスなんて事になったらと、ありえない想像の世界にいつもいた。

ある日の事、彼との再会が訪れた。

私は、いまだに仕事が見つからず、途方に暮れていた。

まだ陽も高く、部屋に戻るには罪悪感があったが、この時運命に導かれるように部屋に戻った。

私のアパートの前に、一人の男性の姿があった、白馬の王子様!

彼の姿を目視した私は、心臓の鼓動が早くなるのを感じた。

私に気づくと彼は、こちらに向かって近づいてきた。

一カ月前の出来事が、走馬灯のように蘇ってまたドキドキが止まらなくなった。

「先日はありがとうございました」

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