第2話

そして私は、恐る恐るドアを開けた、ドアの外には男性が倒れていた。

「大丈夫ですか?」

私の問いかけに、彼はゆっくりと顔を上げて私を見つめた、これが私と彼との出会いである。

彼の事を部屋に招き入れ、怪我の手当てをおこなった。

「痛えよ、もう少し丁寧に扱え、商売道具だからな」

彼はそう言って眼を反らした、この時は、彼の言った商売道具と言う意味が分からなかった。

「喧嘩でもしたのですか?」

彼は黙ったまま何も答えなかった。

 どれ位の時間が過ぎただろうか、気まずい空気に押し潰されそうになった瞬間、彼が口を開いた。

「なんか食わしてくれよ」

彼の言葉にちょっと戸惑ったが、場が持てると思い、料理を作り始めた。

「お口に合うか分からないですけど」そう言って、おかゆを差し出した。

彼は、欠食児童のように、おかゆを口にかき込んだ。

お腹も満たされたのか、いきなり立ち上がり、部屋の中を見回した。

私は彼をじっと見つめていた、なんてかっこいいのだろう。

視線を感じたのか、私の方へ近づいてきた

私は部屋の隅に追い立てられ、壁を背に身動き出来ない状態になった、心臓の鼓動が早くなるのを感じた。

彼から視線を反らし、どうしていいか分からない様子の私を優しく抱き寄せた。

心臓が飛び出してしまうのではないかと思う位に、ドキドキが止まらない。

彼は私の耳元で囁いた。

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