第87話

「そんな奴を頼れって、俺は何を考えていたんだ」


「私、借金返済のため、我妻組管轄のキャバクラで、キャバ嬢として働いていたんです、我妻組の若頭さんが、私を気に入ってくれて、借金を払ってやるから俺の女になれって言われて、でも私は断りました」


「なぜ、俺の申し出は受けたんだ」


「よく、わかりません」


「我妻のところへは行ったのか」


「行っていません、山城さんが残してくれたお金でこうして、生きてこれました、感謝しています」


ずっと黙っている山城に不思議と思い、くるみは声をかけた。


「山城さん、どうかしましたか」


くるみはそっと山城に近づいた。


そして、山城の手を握った。


山城はくるみの手を振り払って、立ち上がった。

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