第86話

元々、極道の世界で生きてきたためか、弱々しい感じはなかった。


くるみはじっと山城に見つめられて、俯いた。


「俺のスマホにお前の名前が一番多かった、お前はどんな関係だ」


「私、以前借金があって、付き合っていた人に騙されたんです、それを山城さんが借金を全部払ってくれて、その代わり俺の女になれって」


山城は考えていた。


「あなたは山城組若頭山城裕太郎さんです、あなたに本浜組お嬢さんとの結婚の話があって、でもあなたはそれを突っぱねた、だから半年もの長い間、監禁させられてしまったんです」


「俺はどうして結婚を突っぱねたんだ」


くるみは山城が残してくれたメモを山城に見せた。


そこにはくるみを愛していると書かれていた。


「最後に書かれている我妻ってえのは誰だ」


「山城組と敵対している組の若頭さんです」

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