第64話

『おい、俺のマンションのカードキーどうした』


『アニキに渡しました、若頭からの伝言だって言ってましたから』


アニキとは、山城組組長の側近で、工藤ユウトだ。


工藤は組長の指示で動いていた。


(くそっ、やられた)


「くるみ、カードキー持ってるよな」


「はい」


くるみはバッグから山城のマンションのカードキーを出した。


「よし、今度はこっちが同じことをしてやる」


「山城さん?」


「くるみ、俺は本浜組のお嬢とは結婚はしない、全て組長の指示で組員がやったことだ」


「でも、私がアパートを借りて、山城さんがきてくれれば済むことじゃないですか」

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