第63話

くるみは恥ずかしそうに俯いた。


「引越しの荷物って……」


「山城さん、マンションに帰ってなかったんですか」


「ああ」


「他の女性のところに泊まったんですか」


「ちげえよ、山城組の事務所に泊まったんだ、くるみを迎えに行く前に、頭を冷やしていた」


「そうだったんですね、でも、結婚するなら、そう言ってくれたら私の荷物運び出したのに」


「いや、待て、俺は結婚なんかしねえよ」


「だって、もう、本浜組のお嬢さんが引越し済ませてますよ」


山城は自分のマンションのカードキーがないことに気づいた。


山城は有働に連絡した。

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