第62話

山城は部屋に入ると、ソファに腰を下ろした。


「あのう、山城さん、私、アパート探しますね」


「どうしてだ、もう、俺とは一緒に住めないからか」


「はい」


山城はうな垂れた。


「結婚するんですね、私全然知らなくて」


「結婚?誰が結婚するんだ」


「山城さん」


「俺?結婚なんか予定はない」


「だって、本浜組のお嬢さんが引越し荷物を運んでいましたよ」


「俺のマンションに行ったのか、帰ってこようとしてくれたのか」


「そう言うわけじゃないですけど、謝りたくて」

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