第50話

「山城さん、ごめんなさい、今日は一人でいたいんです」


くるみはそう言って、ドアが閉まった。


(くるみ、くるみ)


山城はドアにもたれかかり、くるみの名前を呟いていた。


くるみは、ホテルの窓から外を見上げて、我妻の無事を願っていた。


(我妻さん、どうかご無事でいてください、そして、もう、私に関わらないで)


くるみの頬を涙が伝わった。


そこにくるみのスマホが鳴った。


『はい』


『先ほどはありがとうございました、我妻組の結城です』


その電話の相手は我妻組の結城だった。


『我妻さんはどんなご様子ですか』

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