第49話

山城は今までの自分では、信じられない行動を起こしていた。


くるみの泊まっているホテルに向かっていた。


部屋をノックすると、くるみの返事が返ってきた。


「はい」


「俺だ、山城だ、くるみ、開けてくれないか、話したい」


山城はドアに向かって叫んだ。


くるみの返事はない。


「くるみ、お前をこの手に抱きしめたい、お前が我妻を手当するために、部屋に二人きりになったときの俺の気持ちがわかるか」


「いや、そうじゃなくて、えっと……」


山城はしどろもどろになっていた。


ドアがチェーンがかかったまま、少し開いた。


「くるみ」

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