第45話

「やめろ、くるみに手を出すな」


山城組員はいつもと違う山城の行動に唖然としていた。


「山城さん、このお客さんの手当をしたいので、部屋に運んでください、お願い、山城さん」


山城はくるみのすがる姿に何も言えなくなった。


「おい、我妻を部屋に運べ」


ひとみは山城に近づいて、頬にキスを落とした。


「くるみ、手当が済んだら、我妻組に連絡して迎えに来てもらえ、いいな、お前は俺の元に帰ってくるんだ」


ひとみは「はい」と返事をした。


部屋に運ばれた我妻を、ひとみは手当をした。


(こんなに殴られて、一人で来るなんて、信じられない)

タオルを絞って、顔を拭った。


我妻はひとみの手に触れて、うわごとのようにひとみ、ひとみって呼んでいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る