第三章 我妻の嫉妬

第25話

ある日、私の働いているキャバクラに山城組若頭、山城裕太郎がやってきた。


彼は私が山城組に借金を返していることは知らない。

いつも取り立てにやってくるのは、山城組組員である。


それに、ここでは私はキャバ嬢くるみなのだ。


我妻組管轄のキャバクラだから、私は絶対にこないと、たかを括っていた。


まさか、山城組若頭が客としてくるなど、誰が予想出来ただろう。


事情を知っているママは、私を呼び出した。


「くるみちゃん、山城組若頭の山城裕太郎さんが見えたわ、くるみちゃんは奥にいなさい」


ママは私に配慮してくれた。


でも、私は「大丈夫です、仕事ですから」そう言って彼の接客についた。


「いらっしゃいませ、くるみです、隣、よろしいでしょうか」


山城さんは私をじっと見つめていた。


(なんか、じっとみてる、大丈夫、自信持って、よし)


私は自分に喝を入れて、お酒を作り始めた。

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