第六章 二人を引き裂く黒い影

第33話

冨樫は朝まで葉月を何度も抱いた。


葉月は目が覚めると、隣に冨樫が眠っていた。


その時、冨樫のスマホがなった。


葉月は冨樫を起こしてスマホを手渡した。


「冨樫さん、スマホがなってます」


冨樫は「おはよう、葉月、ありがとうな」そう言ってスマホを受け取った。


「はい」


「若頭、どこにいるんですか、今、マンションに来たら若頭がいないんでびっくりしました」


「ああ、悪い、悪い、葉月のアパートにいる」


「えっ、そうなんですか、葉月さん具合そんなに悪いんですか」


「そうじゃねえよ、とにかくこれから戻る」


冨樫はそうそう言って、スマホを切った。


「葉月、おいで」


冨樫は手招きをした。


葉月は冨樫の胸に抱きついて、そっと唇を重ねた。


「葉月、今日は仕事行くのか」


「はい、だいぶお休み頂いちゃったんで……」


「そうか、また葉月のアパートに来てもいいか」

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