第29話

「若頭が麗美さんといちゃつくからですよ」


「はあ?俺はいちゃついてなんかいねえよ」


「他からはそう見えたんじゃないですか」


「でも、なんで葉月がヤキモチ妬くんだよ」


「若頭、気づいてないんですか」


「何を」


「葉月さんは若頭を愛しています」


ヤスシの言葉に、冨樫は狼狽えた。


それなら、なんで葉月は俺の側を離れたんだ。


答えが見つからないまま、冨樫は次の日もコンビニで葉月の様子を確認してアパートへ向かった。


昨日ドアノブにかけた袋はなかった。


冨樫はまたドアノブに袋をかけた。


三日目、四日目と続けた。


五日目はどうしても葉月の様子が気になり、インターホンを押した。


しかし、応答はなかった。


寝てるのか、それとも苦しがってるのか。


葉月を心配なあまり、冷静な判断が出来ずにいた冨樫はアパートの


大家さんに事情を話し、ドアを開けてもらった。

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