第28話

ほかの店員に聞くと、葉月は風邪を引いて休んでいるとのことだった。


冨樫はヤスシに事情を話して、薬とスポーツドリンクと保冷剤を買ってきてもらい、


葉月のアパートへ向かった。


部屋の前で冨樫はウロウロしていた。


葉月は俺に対して怒ってるんだよな。


顔を見たいが、インターホンに対応してくれないかもしれない。


でも、高熱でうなされていたら、インターホンに手を伸ばしたり引っ込めたり


冨樫はずっと悩んでいた。


今日は帰ろう。


ドアノブに買ってきた物をぶら下げて、マンションに戻った。


「若頭、葉月さんの様子はどうでしたか」


「いや、わからない」


「えっ」


「ビニール袋をドアノブにかけて帰ってきた」


「インターホン鳴らさなかったんですか」


冨樫は葉月がなんだかわからないが、自分に対して怒っていることを話した。


ヤスシは「ヤキモチですよ」とあっさり答えた。


「ヤキモチ?」

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