第27話

うしろに客が並び始めたので、冨樫は仕方なく、その場から離れた。


冨樫は何が起こったのか全くわからなかった。


休憩時間になり、葉月は店から出てきた。


待ち伏せていた冨樫は、葉月に近づいた。


「葉月、待ってくれ」


思わず葉月の腕を掴んだ。


葉月はその腕を振り払おうとした。


冨樫は腕を引き寄せ、葉月を抱きしめてしまった。


冨樫は葉月の髪を撫で、想いが溢れて、おでこにキスを落とした。


「俺はお前を怒らせることをしたなら謝る、言ってくれ」


葉月は肩を震わせて言葉を発した。


「もう、優しくしないでください、これ以上優しくされると……」


葉月は冨樫の胸を押して、走り出した。


「葉月」


そんな二人を憎しみが一杯の目が捉えていた。


次の日も冨樫は葉月の働いているコンビニに向かった。


しかし葉月の姿が見えない。


葉月、どうしたんだ。

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